真白の部屋、真白の男。
抱くのは黒き髪の女か、或いは猫科の動物。
抱くのではなく、縋っているのかも知れなかった。
「赦して下さい」
懺悔は誰に向けられているのか、虚空に消える。
細い指が、真白の男の頬を慰撫した。
赤い血が頬を汚す。
男と女、どちらのものでもなかった。
薄い舌が、血を舐めとる。
女は男の懺悔を聞く気がなかった。
ただ殺めてきた誰かの血を塗って舐めるを繰り返す。
「…眠りましょう」
諦めて男は漸くそう呟いた。
女豹はそれには従うように、男の肩に顔を埋めた。
男も倣うように目を閉じて、もういない男の幻影を追いやった。



腕に罪を抱いて神は眠る。