旅の果てに待つものが、必ずしも願ったものではないと、青年はもう知ってしまっていた。
許される全ての世界を渡り、夢にさえ見て望んだもの。
しかし、本当は気付いていた。
言ったのだ、我が半身となるべきものは。
永遠にさよなら、と。
それはあまりに遠い日の記憶。
生まれる前の前、遙か霞む日々の。
草をしとねに寝ころんで、青年はこれからを考える。
それはとても切ない行為に思えた。
失われたものを忘れる、そんな行為だった。
焼け付く程の熱情で、二度はないものを諦めるのは身を灼く悲しみだった。
しかし決別は明日への導となるのだから、悲しみは置いていかねばならなかった。
ゆっくりと目を閉じる。
闇はただ静かに佇んでいた。
明日にはまた陽が昇り、変わらない日々が繰り返される。
失したものは失したまま。



腕に炎を抱いて非天は眠る。