朽ちる空の音を君は聞いたか

其れは唐突に
或いは遙か過去からじわじわと
始まっていた

声は刹那
あれは祈りだ
言葉もなき叫び

慟哭は
声など知らなかった
叫ぼうとする咽喉は灼け付き
痛みに掻き毟ろうと
一音さえ、許されない
ただ空気の塊を吐いて喘ぎ
ひざまずいて
結局は気配を殺すように
息を潜めて細く細く呼吸するしかない

夜空には叫びが反響している
月よ、聞いているのか
もういつからか星は減り続けている


聖句を待つ敬虔な信徒ではなく
瞳を明けたばかりの赤子が見た
最後の星が墜ちる様を
嗚呼、空が最期る


朽ちる空の音を君は聞いたか

果てぬ慟哭を聞きながら
言葉無く聞いた
私の声は永遠に失われるだろう