人形



私が創るものは、いつもどこか欠落している。
それは、私が『創造』を許された者ではないからだ。
だから私は断罪の刻印を、この体と精神に刻まれる。
それでも創り続けるのは、ただ、生きている事を確かめたくて。
罪を重ねる。

それを創ったのはただの気紛れ。
だから失敗した。
感情の欠落した人形。
私の男性としての人格を切り放して、創り上げたにも関わらず、それはそれとしての役割を果たさない。

創造したものが意思を持つ時、創造主の思惑は狂い出す。
だから覚醒の前に、感情を情報として、埋め込んだ。
条件を満たしたときだけ、生まれる感情を。
それは、悪戯ではなく、ただ知って欲しかったのだ。
絶対に生まれないものを、偽物でも良いから知って欲しかった。

それは、創造主としての私の傲慢。
それが、創られた者に、どれだけ苦痛を強いるか知りながら、私はそうした。

いつか私自身が『眠り』を与える事さえ知りながら。

赤い月の夜。
その日を予期しながら、私は夢に堕ちた…